親は子の幸せを願うものですが、その気持ちがいつもまっすぐ前を向いているとは限りません。
時に親は、子供の幸福に敵対する場合もあるものです。
この考えは、結婚を考えている若い人たちがしっかり頭に入れておく必要があることだと、私は思います。
愛は強し、といいます。母親の子を思う気持ちとは、どんな危険からも守ろうとするほど強いものです。
しかし、この愛があまりにも子供に対して依存した形だと、事態は少し変わってきます。
彼と一年つきあって、そろそろ彼と結婚を考えてたC子さんという女性がいました。
本来ならば、幸せの絶頂にいるはずのC子さんですが、なぜか、「私は結婚すべきかどうか、自分で判断できない。どうして自分のことが自分で決められないのか情けなくて涙が出る」と毎日考えているようです。
彼女がそう思うことには理由がありました。
今までにも彼女には結婚の約束をした男性が二人ほどいたようですが、いざ母親に彼を紹介すると、いつも何かを反対され、彼女は結婚のチャンスを失っていたのです。
幼い頃から、彼女の生活は、すべて母親の判断によって決められていたため、母親に反対されることは実行できず、自分の意志で何かを決めるということができずに過ごしてきていたのです。
髪型や洋服の好み、そして男性のタイプまで母親に言われた通りのものを選んでいたのです。
結婚に反対された彼女は、自分でどうしたらいいのかわからず、すっかり自信をなくしていました。
これは、C子さんの母親が、彼女が新しい世界へ旅立つことを無意識にひきとめていたのです。
そして、C子さんは、そのゆがんだ愛情の鎖につながれたまま、自分で外に愛を求める勇気が持てなくなってしまっていたのです。
その後、彼女は思い切って一人暮らしを始めて、結婚を反対する母親のそばから独立することを試みました。
一人暮らしをしてしばらく過ごすうちに、今の彼との関係が、かけがえのないものだということに気づき、彼の愛を信じられるようになり、母親に相談せずに自分の希望する男性と結婚する決心がついたのです。
愛情とは、外に向かって働きかけるものです。
肉親の愛情も大切ですが、本当に愛する人があなたにできた場合、親から独立する勇気を持つことが必要です。
そして親になんとか納得してもらうことを考えましょう。
その勇気がないと、生涯親にすべての判断を委ねることになるでしょう。
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