人はみな、自分の好みに合わない(別の言い方をすれば、好きでない、嫌いな)
面を持っている。
相手の何もかもが好きだ、自分の好みに百パーセント合うといった人など、この
世の中には存在しないのだ。
その人の言葉使い、食事をするときのマナー、しぐさ、ファッションセンス、お金の使い方から、趣味、世界観、人生観、さらに結婚観にいたるまで、意見、考え、価値観、感じ方の違いから、何か違和感を抱いたり、反発したくなることは、あるはずだ。
時には議論、口論のあげくに、ケンカすることだってあるはずだ。
私が長年行ってきた婚前カウンセリングや婚前セミナーの席上で、カップルの議論が高じて口論を始めるということは珍しいことではなかった。
それは歓迎すべきことで、そういうカップルに「雨降って地固まる」のだから、大いに議論することや口論することをすすめてきた。
こうした相手の、自分が好まない面と遭遇した時に、実は相手に対する自分の愛情の質が試されるのだ。
平時には一旦考えて冷静な対応ができても、予期しない事故や熱い議論で心が乱れている時には、それこそ”素”の自分が出てしまうものだ。
そして、二人が単なる一面的、表面的な付き合いの関係で終わるか、それとも全体的、本音の付き合いに進展するかどうかの分かれ目になるのだと思う。
そのいずれかを決めるのが、あなたの愛情の質なのだ。
自分が好まない面を持っているといって、その相手に背を向けるのではなく、むしろ対面する。
そして、時には対決する。
「好きだから」「愛しているから」自分の意見、考え、思いを相手に伝える。
そして、そのことで相手が傷つくことがあったなら、その傷ついた心に対するケアをする。
実は、それが本当の愛ではないかと思うのだ。
もちろん、相手を傷つけないように配慮しながら、自分の本音を相手に語るように努めることにも愛情が求められる。
まさに、「愛が問われる瞬間」である。
もし本当に愛情があれば、それは自ずと自分の意見や感情の表現の仕方にも現れ、相手もそれを感じ取り、理解されるのではないだろうか。
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