「結婚を後悔しない50のリスト」
副題:1万人の失敗談からわかった夫婦の法則
こちらの本、今までと少々毛色が違っています。
というのが、今までご紹介してきた本の場合、基本、結婚前の人向けに書かれていました。
しかし、本書の場合、視点が結婚後について書かれているのです。
結婚前の人向けの本は、必然的に「どういった相手と結婚したらよいか?」とか、「どうすれば結婚できるか?」ということについて延々と書かれることになります。
でも本書の場合は、結婚後のことなので、「どういった姿勢や態度で臨めば、うまく結婚生活がまわるのか?」ということが議題に挙げられているのです。
さて、こちらのサイトを読まれている方の多くは未婚者だと推測します。
そのため、「いや、結婚後のことより、どうやったら理想的な相手と結婚できるかについて知りたいんだよ!」という方が少なくないと思います。
しかし、敢えて今回この本を取り上げたのは、理由があります。
この著者ですが、1万人以上の既婚者に結婚生活についてインタビューを重ね、多くの人が後悔する結婚生活ネタをまとめ上げたのが、本書という訳です。
仕事においてやり手と言われる人でも、結婚に失敗している人は少なくありません。
普通の人よりも注意深く、ちゃんと相手を見定めて結婚した人であっても、同じような失敗をしているのです。
となると、どうやら私達のほぼ皆、誰と結婚しても、大なり小なり同じような落とし穴にはまるということです。
でも、事前にその落とし穴のありかが分かれば、対処のしようもあるというものです。
その原因を分類してみると、ざっくり6つのタイプに分かれると言います。
1.家事・育児の分担
2.相手の育ちや環境が与える人格不和
3.コミュニケーションの取り方
4.お金や時間に対する価値観の齟齬
5.相手の両親との付き合い方
6.子育て哲学の違い
詳細については、下記に順々に挙げていきます。
ただ、その前に著者がインタビュー時に特に印象的だった、多くの人が口にする言葉があるといいます。
それは、『チリツモ(塵も積もれば山となる』というもの。
大恋愛の末に結ばれたにも関わらず、育った環境の違いがボディーブローのように徐々に利いてきて、最後に爆発してしまう。
たった一つの出来事によって離婚にいたるのではなく、日々の不満の積み重ねだということです。
結婚が難しいのは、仕事のようにプロジェクトが終わればメンバーは解散とか、会社にいる時間だけ良い顔をみせておけばOKというものではなく、
日常生活そのものだからというのは、著者の指摘する通りです。
側からよく、「そんなことくらいで!」と驚かれる場合でも、実はそのこと自体が大きな原因ではなく、その前にチリツモがあり、原因と思われた事柄はトリガーになったというだけ。
もう一つ、結婚を後悔する既婚者の言葉に、『結婚と恋愛は違う』というもの。
それは人が変わるというものよりも、相手の良いところしか見ていなかったというものが多い模様。
例えば、結婚前に感じた「優しさ」は、実は優柔不断の裏返しだったとか、頼もしさは強引さに変わり、ちゃんと話し合いのテーブルにつけないといったことで悩む女性も多いようです。
とはいうものの、結婚前に相手の本当の姿を見抜くというのは、不可能だと著者も認めています。
多くの既婚者が言う通り、恋愛中に「相性が合う、合わないというのは当てにならなかった」というものなのだそうです。
それよりも、「結婚は修正主義」と考え、家庭は二人の創作行為という意識を持ち、改善し続けるという姿勢で臨むことが現実的な解だと提言しています。
生まれも育ちも違う二人ですから、当然そこには大きな隔たりがあります。
しかし大事なのは、その差異を議論することではなく、お互いの進むべき方向へ「ベクトル」を合わせ、家庭を共同経営していくことなのですね。
それを理解していないと、些末なことにストレスが溜まっていく生産性の低い毎日を送ることになりそうです。
それでは、第一章の「家事・育児の分担」について。
家事・育児で失敗した既婚者が言うセリフの第一位は、「仕事ばかりしなければよかった」というもの。
我々の親の世代では、男性が外で稼ぎ、女性が家庭を守るというのが当たり前で、それをみて育った子供にもそういった家庭像が標準であるという意識があっても不思議ではありません。
しかし、どれだけ仕事が忙しくても、「仕事」と「家庭」を同列に考えるクセをつけておかないと、仕事を言い訳にしてしまい、何でも奥さん任せにして家庭不和というのが定番のコースとなるのですね。
特にその傾向が顕著な時期というのは、「一歳危機」と呼ばれるものです。
育児に協力的ではない夫に不満を覚え、自分ばかりが犠牲になっているという意識は、子供が1歳になる頃にピークを迎え、冷めた夫婦関係へと発展するというもの。
実際、52パーセントの女性が離婚を考えたことがあるというデータもあり、男性としては特に気を付けなくてはいけない時期の1つと言えそうです。
解決策としては、やはり奥さんとの会話時間を定期的に持つこと。
単純にコミュニケーション不足と言いますが、そもそも男性と女性では意思疎通の方法が、根本的に異なります。
「結論から言ってくれ」という男性と、「ただ聞いてほしい」と考えている女性とでは、同じ言語を使っていても、双方満足という訳にはいきません。
当然、双方に言い分がある訳ですが、男性が聞ける状態に無い場合には、聞き流すのではなく、その旨を伝え、後でじっくり話す機会を設けるとか、朝食や夕食の時に必ず二人の会話時間を取るといったことで対応するのがよさそうです。
もう一つは、男性自身の家事・育児スキルをアップさせることも必要だと説きます。
これには奥さんの協力も必要となってくるのですが、最初から家事の上手な男性は少ないため、女性が褒め上手になり1つの家事をできるようにして徐々にその守備範囲を広げていくのです。
新人や子供を育てるかのように、やる気をなくさせるような発言は慎しんで頂き、5年、10年計画で家事・育児のオールラウンドプレイヤーを目指すことが、家庭の基礎作りに繋がるようですね。
昭和初期に生まれた男性なんかだと、奥さんが倒れたりすると、途端に何もできなくなり、自分で料理はもちろん、洗濯機の使い方も分からないという人も珍しくないようです。
そういった状況は避けたいですね。
続いて、「2.相手の育ちや環境が与える人格不和」。
生まれ育った環境が違うと、当然、共同生活が始まると違和感を感じるもの。
その違和感は次第にストレスとなり、つい相手の粗探しへと繋がるのです。
お互い習慣になっていることを指摘されると、ついカチンときてしまいます。
そこを批判するのではなく、お互い新しく始まった共同生活ということで、一緒にルールを決めて、方向性を見つけようとする歩み寄りが大事だと先人達は語っているようです。
また、子育てについての考え方も大きな問題となりえます。
例えば、裕福な家に生まれた女性と、一般家庭で生まれた男性とでは、当然子育て哲学は違うものです。
「少しでも良いものを」と考える奥さんと、「そこまでの必要ないんじゃない!?それより我慢を覚えさせることの方が大事でしょ!?」と考える旦那さんがいれば、当然そこには軋轢が出てきます。
そして、さらにお互いの両親も少なからず関与してくる訳ですから、よほどお互いの子育て哲学をすり合わせておかないと、教育方針もブレてしまいます。
教育に関してダブルスタンダードがある家庭では、子供の方も大変です。
早くから勉強に力を入れて欲しいという奥さん、それよりも中学校くらいまでは団体競技などのスポーツに力を入れて社会性と身体を鍛えて欲しいと思っている旦那さん。
どちらが間違っているという話ではないので、ここでも歩み寄りが必要ですね。
次に、「3.コミュニケーションの取り方」。
日本の古き悪しき習慣とでも言いましょうか、あまり自分の気持ちをストレートに伝えるのが苦手な民族だということは、多くの人が感じていると思います。
人によっては、「おはよう」とか、「ありがとう」ということですら、まともに言えないまま社会人になっています。
そういった人が家庭に入れば、尚更言葉数が減るというものです。
夫婦であれば、家族であれば、して貰って当たり前。
と決めつけずに、何かしてもらったら感謝の気持ちを言葉で表すというのは、必要最低限のことで、家庭内でも良き習慣にすべきと多くの既婚者も感じているようです。
そして、最も本人が気づいていない悪癖は、「言い方」だと言います。
ビジネスのように、相手を論破したり、責任の所在を回避しようとしても仕方がありません。
何か言われたら、必ず最後まで相手の言葉を聞く。
その上で、謝罪すべきところは謝罪し、改善方法があればそれを含めて提案する。
そういったことを事前に「家庭内の鉄の掟」として決め事にしておくというのは、有効なんだそうです。
良好な関係を維持するために、ケンカにもルールを事前に決めておくという方法があります。
ケンカに発展した場合、「次の日には持ち越さない」、「見下した表現は口にしない」、中には「(最後は)旦那さんが謝る」(笑)ということにして上手くなりたっている夫婦もあるそうですよ。
「旦那さんが謝る」というのは笑い話のようですが、どちらが先に謝るかというのは、ケンカを上手く収めるポイントのようです。
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長くなったので、今回は2つに分けます。
次回(その2)をお楽しみに!