今月の書評(婚活編)

結婚を後悔しない

「結婚を後悔しない50のリスト」の書評(その2)


前回の(その1)は、こちら

 

前回に続いて、「4.お金や時間に対する価値観の齟齬」。

独身貴族なんて言葉があるように、既婚者の生活には制限がついてまわります。

特に意識がいくのが、「お金」と「時間」でしょう。

結婚相手として選ぶ際にも、経済的な基盤というのは重視されますが、結婚後の「お金」というのは、言い換えれば「貯蓄への計画性」と言えるかもしれません。

いくら年収が多くても、独身時代のように浪費していたのでは、家族としての将来設計ができません。

男性は案外、お金に関して楽天家な人が多いように思います。

「無くなったら、また稼げばいいんじゃね!?必要になったら、その時はその時で。。」なんて言う人も、あなたの周りに一人や二人はいるのではないでしょうか?

そんなときこそ、「経営」という発想に切り替えて、お互いが本当に望む将来の家庭像をハッキリさせ、数年先までの年間目標を立てていくのです。

「目標は年間300万円の貯金!そして、年に一度は海外旅行」というような具体的かつシンプルな目標設定が、長く続く秘訣だそうです。

 

あと、家計は奥さんに任せきりという男性も多いようですが、これも場合によってはよくないようです。

人には向き不向きというのがどうしてもありますから、もし適正に疑問があるような場合、お互いにチェック機能が働くようにしておくことも、問題を起こさせない上で大事なことだと説きます。

「時間」については、特に子供が出来てから痛感することでしょう。

「自分の時間が無いということが、こんなにも苦痛だったなんて!」という女性は少なくありません。

子供が生まれてから間もない時など、仕事とはいえある程度自分の時間が取れる旦那さんを恨めしく思ったという女性も多いでしょうね。

やはり人は「一人になれる時間」というのは大事なようです。

そこを奥さんに言われるより先に、「今日は俺が子供の世話をするから、昼からちょっと出かけてくれば?」なんて言えれば、旦那さんの株は上がりそうです。

 

 

いよいよ後半、「5.相手の両親との付き合い方」。

日本の結婚は、「家と家の繋がり」と言われてきたように、二人で完結しないことが多いものです。

日本でも「フランス婚(事実婚)」を勧める人がいますが、個を重視する文化背景があるフランスならではのことなので、しばらくは日本に浸透しないでしょうね。

さて、相手の両親に苦手意識を持っているという人は多いでしょう。

自分の両親に対しては、自分の意思を貫けても、相手の両親から良かれと思ってのアドバイスや物品は、断り切れないもの。

さらに物理的な距離が近くなるにつれて、その干渉力は上がります。

こうした状況で問題が大きくなりやすいのは、
・結婚相手の立ち位置
・本人同士の家庭像の乖離
なんだそうです。

ありがちなのは、旦那さんが(実家と奥さん)両方の味方をするという立場をとり、最終的に奥さんが孤立してしまうというケース。

一見すると、別に両方の味方をする、つまり中立の立場になる訳で悪くないと思ってしまいそうですが、それは上手くいかないのだそうです。

二人とも今の家を出て、新しい家庭を築こうとしている中に、第三者が深く関わろうとすると上手くいかないことが多いだろうことは想像に難くないでしょう。

そんな時、頼りになるのは自分と相手だけです。

そんなパートナーが、自分の味方をしてくれないというだけで、家庭が崩壊するには十分すぎる理由となります。

先人達は、パートナーが自分の家族との板挟みになったとき、「断固として、自分はパートナーの味方だ」と双方に言わなくてはいけないと教えてくれています。

 

 

最後は、「6.子育て哲学の違い」。

価値観の違いが顕著に出やすいのが、子育てでしょう。

たまに本当に放任主義の男性がいますが、一般的には自分のDNAの50パーセントを持った子供に対して、無関心ではいられないものです。

どの親も、「自分よりも素晴らしい人生を歩んでほしい」と願って、自分の経験をもとに、様々な試行錯誤を繰り返す訳です。

しかし、先人達の後悔を集約すると、案外同じことを言っているのです。

・夫婦の意見の相違を見せてはいけない
・受験や進路は、当事者である「子供に判断させる」

これが、鉄則であるそうです。

ただ、上記のことを守るために、子供のいないところで夫婦間の意見のすり合わせが必要になります。

親同士が違った指示を出せば、当然子供は戸惑い、言うことを聞かなくという状況が起こりがちです。

会社なんかでも、そうですよね。

部長と課長の指示がそれぞれ違ったりすると、ひいては会社に対しての不信となり、やる気がなくなってしまいます。

 

最後に、自分の進路については、子供自身に決めさせるのが良いということですが、これに関してはある程度、日頃の教育として考えていく必要あるようです。

何をやらせるにしても、親のエゴで子供に強要しては、結果的にうまくいかないという事実あります。

かといって、「うちの子は、あまり意思表示をしないタイプなので、、」と考える親御さんもいらっしゃるでしょうが、問題はその「自己決定」力を育てる教育がなによりも大事なんだそうです。

決して過干渉せずに、子供の好奇心を自然に助長するように意識し、自己決定を見守り続けるというスタンスが大事であると、先人達が試行錯誤の末に辿り着いている答えのようです。

 

以上、本書の主旨ですが、上記の内容をより分かりやすくする為に、50のリストとして章立てされています。

数多くの具体例が挙げられており、あまりにありがちな例に苦笑いしてしまう既婚者の方も多いでしょう。

そして、本書の使い方として、自分だけが読むのではなく、パートナーと内容を共有し、改めて理想の家庭像を確かめ合うということにも使って貰いたいと記されています。

口に出してあれこれ説明するよりも、「この本、凄く面白かったよ!」と手渡し、食事時や休みに、この本に書かれていることを議論してみるというは、間違いなくお互いに新しい発見があると思います。

そういった意味では、この本は「既婚者」、もしくは「結婚が決まっている人」に特に読んで欲しい一冊といえるでしょうね。