今月の書評(婚活編)

結婚できない理由画像

「結婚できない理由は、統計で答えが出ている」の書評


この著者、恐らく日本で一番有名な仲人さんではないでしょうか。

名前は、「山田由美子」さん。

婚活関係の番組でも、ちょくちょく見かける関西のおばちゃんです。

一般の人が思い描く「仲人さん」のイメージをそのまま具現化したような方です。(もちろん、テレビや書籍を拝見しただけのイメージですが。。)

この方の著書も結構多く、本を執筆するのは、有効な広告宣伝になるのだなと思わされますね。

 

さて、本書ですが、完全に「婚活中の30代・40代の男性向け」という内容になっている点が特徴でしょうか。

本のタイトルから分かる通り、山田さんが集めた統計データを元に、結婚できない男性の行動を斬っていきます。

ただ。。

統計データから言って、「男が婚活市場で有利な理由」などが挙げられていくのですが、実際のところ、その独自データから反論なくその答えが導き出せるのか?と言われれば、心もとない箇所も散見されます。

統計学の専門家に言わせれば、色々と欠陥が指摘できそうな気もします。

なので、市場の大まかな流れをデータに任せて、具体的な部分は、ご自身の仲人としての経験から述べていると言った方が正しいかもしれません。

そういった意味で言えば、いままで上梓された本の焼き直しとも言える箇所が多いというのは否めないところでしょうね。

とはいえ、結婚相談所という婚活市場を垣間見るには、よい資料となりえると思いますし、婚活初心者の方には自分の市場価値を見直す良い機会にもなりえるでしょう。

 

 

それでは、本文に入っていきます。

表紙を1ページめくると右手に、大きな文字で

「きっといつかは結婚できる」は、大間違い。

と書かれています(苦笑)

 

そういうものの、第1章は、「統計から見える、男が婚活市場で有利な理由」となっており、男性を鼓舞する内容となっています。

その理由は、現在、現在結婚相談所において、女性会員よりも男性会員の方が少ないところがほとんどで、割合で言えば「男性4:女性6」といった感じになっているそうです。

これは、2015年の東京の相談所においても事情は同じで、男性1人が会員として申し込むうちに、女性3人が申し込んでいる。そんな状態です。

また、男性が有利だと言える理由その2は、「年齢」の部分です。

婚活市場において、大半の男性は結婚したら子供が欲しいと望んでいます。

女性も同じなのですが、女性の場合は出産において年齢のリミットが、個人差はあるもののシビアです。

一方、男性の場合は、40代でも50代でも可能な場合が多いので、その点は女性よりもトクと言えます。

ただ、この本には書かれていませんが、もちろん男性も加齢による出産リスクというのはあります。

女性の場合は、35歳を過ぎると「ダウン症」のリスクが跳ね上がることが知られていますが、男性の場合は40歳を過ぎると「自閉症」のリスクが高くなってくるのです。

そういった意味では、男女ともに30歳を過ぎたら、結婚に子供を望むのであれば、早い方が良い場合が多いような気がしますね。

持てる子供の数においても、違いが出てきますから。

 

 

続いて、山田さん独自の「婚活市場において、男性が結婚するための条件(公式)」が出てきます。

結婚相談所のような数字で見られるシビアな世界では、男性はどの程度の年収があれば良いのでしょうか?

山田さんの経験則から言えば、

「男性の年齢 × 10万円」 が最低ラインなんだそう。

30歳であれば、300万円。

40歳であれば、400万円ということですね。

まあ、田舎と都会ではまた求められる数字が少し異なるとは思いますが、結婚相談所というカタログ評価される場所では、基準として参考になる数字ではないでしょうか。

もちろん、年収以外に、不動産収入があるとか、親の遺産が結構あるという場合には、話が変わってくるのでしょう。

個人的に興味深いと思ったのが、次の公式。

「年収 ÷ 100」 = 自分との年齢差の下限

例を挙げれば、年収600万円の35歳男性は、6歳年下までの女性と、

年収が1000万円ある40代男性は、10歳年下の女性とも結婚できる可能性があるということ。

結婚相談所では、お相手をデータベース上で条件を絞り込んで探すため、自然とスペック(年収、年齢など)重視になってしまいがち。

逆に言えば、スペックに自信のある男性は、通常の出逢い以上に希望に近い若い女性と結婚できる可能性があるというのは、事実かと思います。

 

 

そうはいっても、いくらスペックが高くても結婚できないタイプというのはあります。

それが、以下のタイプ。

1.モグラくん ⇒ 結婚願望があまりなく、野暮ったくて、モテない自分にちょっと諦めを感じている男性

2.突っ走りくん ⇒ 独善的すぎてコミュニケーションが一方通行な男性

3.円満ファミリーくん ⇒ 家族との距離が近すぎる人

4.エリート難民くん ⇒ モテるだけで満足してる男性

5.おまかせくん ⇒ 自分では動こうとはしない男性

6.原石くんもどき ⇒ 性格にちょっと難ありで、野暮な身なりの男性

7.ジレンマくん ⇒ 「結婚したい!」と言うものの、結婚への覚悟が決まっていない男性

ここで多くの人が、パッと見て理解しづらいのは、「3.円満ファミリーくん」ではないでしょうか。

家族との仲が良いのが、何故良くないのでしょう?

よくあるシチュエーションとして、お見合いや交際中の出来事一つ一つを家族に話してしまうことだそうです。

例えば、ちょっとした彼女への不満を家族に何気なく話したとします。

当然、家族はあなたの味方ですから、妹などからは「その子、ちょっとおかしいんじゃない!?辞めておいた方がいいよ。お兄ちゃん女性を見る目が無いんだから!」と言った悪意の無いアドバイスが出てくることも容易に推測できます。

更にバカな男性は、家であったその話を一部始終彼女に言って聞かせ、「でも、僕はあなたのことが好きです」などと言い出します。

普通に考えれば、それを聞いた女性は、男性の気持ちとは裏腹に、その男性に対して強い不信感を抱くでしょう。

そんなことの繰り返しで、彼の婚活は中々進まないのです。

相談するのであれば、経験豊富な第三者に相談すべきでしょうね。

ここでは男性による家族の話になっていますが、同じようなことは、女子会などにおける女性友達の仲でもよく起こっているものと想像します。

 

また、その他のタイプを説明する前に、知っておかなくてはいけない大前提があります。

多くの人が結婚相談所について持っている、誤解です。

それは昔ながらの「お見合いのイメージ」であり、お見合いを組めば、あとはある程度上手く行く確率が高いのだろうと思っているところ。

しかしながら、現代のお見合いは、昔に比べるとかなり事情が変わってきているようです。

山田さんも、「現代のお見合いは、会社や学校で出会って発展する恋愛結婚と同じく、出会いのカタチがお見合いというだけで、恋愛が無いと結婚には至らないのです!」と言ったことを書かれています。

つまりどういうことかと言えば、いくら紹介して貰っても、自分に「恋愛力」が無いと結婚できないということです。

上記のタイプも鑑みると、

年齢相応の清潔感のある身なりが出来、お相手の意志を尊重したエスコートが出来、結婚への覚悟が出来ている男性が、結婚に近いと言える気がしますね。

実際、本書の中に「私が断った理由」という、女性がお見合いにおいて断った具体的な理由が記されています。

<初対面編>

1位: 話が合わなかった、黙ったまま話してくれなかった。

2位: 見た目がイメージと違った

3位: 清潔感がなく、だらしなかった

4位: 印象が暗かった

5位: ほかに交際中の男性がいるが、その人よりいいと思えなかった

6位: これと言って不満はないが、かといって惹かれるところもなかった

7位: ルーズな印象を受けた

8位: ケチ

9位: 初対面なのに延々自慢話をされた

10位: 野暮ったい

11位: 初対面で親を大切にするアピールが重く感じられた

12位: しゃべってばかりで、私の話を聞いてくれなかった

13位: 店員さんへの横柄な態度や、男尊女卑な考えが気になった

こうみると、内容が重複しているコメントが結構ありますね。

5位、6位はちょっと不可抗力だと思える内容ではありますが。。

<交際編>

1位: 話が合わなかった

2位: 結婚に対する価値観が違う気がした

3位: 会う回数が増えるにつれて、優しさが減ってきた

4位: 離婚した元妻との子供と一緒に暮らせるか、不安になった

5位: 親が反対した

6位: 仕事を続けたいのに、家にいてほしいと言われた

7位: 主婦になりたいのに、仕事をしてほしいと言われた

8位: 転勤すると聞いたが、地元を離れたくなかった

9位: いつまでたってもプロボーズしてくれなかった

10位: 一緒にいても楽しくなかった

初対面編に比べて、かなり突っ込んだ内容となっていますね。

ここまで話が出来ていて合わないのであれば、単純に縁が無かったと思って次にいくべきでしょう。

ちなみに、本書には逆の立場、つまり男性がお断りした理由も詳細な説明付きで載せられています。

本書自体が仲人さんが書いた本ということもあり、結婚相談所の入会を勧める内容が多いことは否めません。

でも、結婚相談所(仲人型)は、インターネット型の出会いサービスと異なり、成婚してナンボという事情もあり、「入会してくれるなら、どんな人でもいい」と思っている訳ではないことも伝わってきます。

裏を返せば、30代、40代の男性で、一般的な収入と定職があり、ある程度アドバイスを聞き入れてくれる方であれば、大歓迎!という事情が見えてきたりもしますね。

 

上記で紹介させて頂いた内容は、実のところ、本書の半分程度です。

後半は結婚相談所に入った場合の流れであったり、効果的な利用法であったりと、結婚相談所におけるサービスの詳細にページが割かれていますので、婚活の手段として結婚相談所を考えている男性には、有益な情報が多いと思います。

Amazonでの評価は高くないですが、個人的には一読の価値のあるオススメの一冊です。