友人が体験した婚活エピソードを書いてみようと思います。
友人のA子は昔からとにかく「結婚相手はお金!」の人でした。
しかも、勿論「顔」も妥協はしない!の一点張り。
確かにA子はかなりの美人で、料理も出来てピアノは子供の頃コンクールにも常連だった程の腕前です。性格も高い理想の部分を除けばさばさばしていて同性からすると一緒に居てとても楽しい友人でした。
……しかし、世の中そんなに甘くありません。
20代も中盤を過ぎ、A子には何人もの彼氏や彼氏候補が出来ましたが、その高すぎる理想や男性からすると扱いづらいであろう性格が災いし、いつまでも「結婚相手候補」が定まりませんでした。
20代、顔まあまあ、年収800万。
これでアウトです。妥協ラインは顔イケメンで年収800万(20代)か、顔そこそこで年収1000万(20代)という常人からすると「そんな人いるの?」な感覚でした。
ですが、世の中いるものです。そんな男性が。
美貌を活かし、各所のパーティー等に参加していたA子はそのクラスの男性とよく知り合ってきていました。
しかし、結果は遊ばれて終わり。
そんなに若くして成功している男性が馬鹿なはずありません。
A子の結婚(お金や顔)の真意に即座に気付き、遊ばれるだけで終わらされていたのは明白でした。
20代もあと残り2年を切った時、A子は焦りはじめたのかいくつかの婚活サイトに登録しました。
当然条件は「20代・顔イケメン・最低年収800万~」です。
ですが、婚活サイトの方がむしろその条件に当たる人は少ないです。何せその条件の人は婚活サイトを使う必要があまり無いと思われるからです。
中々希望条件の人が見つからず途方にくれていた時に、一人の男性からお誘いがかかりました。
29歳、年収2000万以上の方です。
一流大学卒、一流企業幹部候補かつ、家は代々一流大卒を輩出してお金持ち。
本業である仕事の年収もさることながら、家で管理している不動産・株等の利益によりその方の実年収はもっと上、という凄い方でした。
ただし、唯一絶対の弱点。それは「顔」でした。
人様の事を悪く言うのはよくないとは思うのですが、お世辞にも「普通」より下である事は明白な彼は恐らくその事情から婚活サイトを利用していたのではないかと思われます。
A子は「希望条件の人が見つかるまでの暇つぶし」といい(勿論彼には言っていませんでした)、彼のお金で豪遊しながら生活していました。
美味しいものをご馳走になり、高いホテルに泊まり、海外にも連れて行ってもらっていました。
それでも交際はしておらず、彼をはぐらかし続けて他の「希望男性」を探していました。
しかし、30歳を迎えたA子はさすがに年齢の事もあり、じょじょに「希望男性」枠の人から遊びでも相手にされなくなってきました。
男性からすると「遊ぶなら若い子」「結婚はしたくないめんどくさい相手」に成り下がってきていたのかも知れません。
上手くいかない苛立ちを彼にぶつけていました。ですが、彼はいつも優しく笑っていたそうです。
この頃になると私や他の友人と飲んでA子が泥酔して泣いて酔い潰れるといつも彼に連絡して引き取りにきてもらっていました。
それだけ彼は私達からも信頼があり、(酷い扱いなのにも関わらず)とてもA子を大事にしてくれているのが解りました。
彼と知り合って5年目、A子ももう四捨五入すると35の年齢です。
殆どの友人は結婚しました。勿論それなりの方と。
そんな中、A子は病気で倒れてしまいました。
お酒の飲みすぎによる肝臓の病気です。検査を含む短期の入院時には彼が毎日お見舞いに訪れていました。
私もお見舞いに同席していた時に、すっかり弱ってしまったA子は、泣きながら彼に「今までありがとう。いつも一緒にいてくれてありがとう、でももう大丈夫だから、もっと素敵な女性と一緒になって下さい」と言いました。
彼は少し困った顔した後に、姿勢を正して真面目な顔で
「はじめて君がピアノを弾いているのを見た時から好きでした、どうか私と結婚して下さい」
そう言いました。
彼は小さい頃ピアノを習っていて、同じ位の歳の子のA子がコンクールで入賞する姿を見て一目惚れだったそうです。そしてずっと思い続けてきた初恋の人だったとの事。
婚活サイトはいつまでも初恋を引きずっていても仕方ない、とはじめてみた所まさかの初恋の人も登録していた……ととてもビックリしたそうです。
A子は最初今までの罪悪感から答えを渋ったものの、結局彼に押し切られ結婚。
今となってはこちらが照れてしまう程、誰よりも夫大好きな嫁となっています。