今月の書評(婚活編)

picこの人と結婚

「この人と結婚していいの?」の書評(その3)


前回までの話を少し振り返りますと、女性には男性と違い「生理」があり、それは一般の男性が思っている以上に精神面への影響が大きいのです。

PMSと呼ばれ、その期間は特に女性への対応に気を遣うべきというのが、前回の大筋です。

では、男性として、ストレスがたまった女性を相手にする時のベストな方法とは、何でしょうか?

 

それはズバリ、

『じっと黙ってうなずき、聞き手になること』

だそうです。

間違っても、論理的に誤解を解こうなどと試みてはいけません!

男性特有のウルトラマン思考(正義は我にあり!)が顔を出しそうでも、そこは意識して堪えるのですね(苦笑)

女性の感情の波が引いてしまうまで、下手に動いてはダメなのです。

その波の向こうには、雨降って地固まる的な関係が待っていると信じて。。

 

以上が、本書の基礎の部分であり、ページ数としてはちょうど半分という所です。

ここから後半にかけて、実際の現場ではこういった形で行き違いがあり破局へと進んでいくというケーススタディが書かれています。

著者が男性ということがあってか、男性6、女性4くらい割合で、男性へのアドバイスが多いように感じます。

実際問題として、生理的な問題から女性の方が歯止めが利かず、行くところまで行ってしまう傾向があるので、男性の方が関係をエスコートしていく方が良い関係を維持しやすいのでしょう。

一見、男性っぽいサバサバした女性であっても、同じようですね。

いやむしろ、本人にはその意識がないので、自称サバサバ系の女性の方がより気を遣う必要があるかもしれません。

もちろん、男性側ばかりに期待するのではなく、女性も同じく本書を読んでおくことにより、男性のウルトラマン思考を理解し、衝突を防ぐ努力は無駄にならないと思いますね。

 

本書の終盤では、「プリマリタル・カウンセリング」についての詳細な説明となっています。

日本では、「結婚してみないと分からない」というようなことまで、カウンセリングではオープンに話し合うことを勧めています。

特にセックスについての記述も多く、婚活本というくくりで言えば、ちょっと異端ですね。

日本がセックスについての話題をタブー視するのは、文化的な背景が大きいと思いますが、かといって満ち足りているという訳でもないのは周知の通り。

避妊具メーカーが発表した「国別の性生活幸福度世界調査(※本書に記述はありません)」では、

<週一回以上、性生活がある>
26か国中、最下位の26位。
1位はギリシャで、87%
26位の日本は、34%

<性生活満足度で、満足していると回答した人の割合>
世界平均が、44%
日本は、15%

著者は、性生活は女性にとって特に「精神生活」となっており、自分が愛されているという安心感と精神的充足感を感じる場だと言います。

そのため、性生活は夫婦の関係を如実に表すものであり、非常に大事なものであると位置づけています。

一般的に、日本では性について口に出すことを下品と見なす人が多いのも事実ですが、「性の問題」から離婚するカップルも少なくないということを考えると、やはり性行為についての好みや不満についても真剣に話し合うことが健全な二人の関係には必要なことのようです。

この「プリマリタル・カウンセリング」の部分は、著者の営業でもあると思いますが、個人的にはこういったカウンセリングというものの存在について、好意的な感触を抱いています。

「自分は異性をよく分かっている!」と言える人は、本当に少ないでしょう。いや、むしろそう思っている人こそ、それは奢りであり、危険信号かもしれません。

離婚するカップルの多くは、相手への理解不足が原因だと言います。

そして、小さな行き違いが積もり積もって、離婚という決断に。

そのためにも、一緒に住んでいく過程の中で学ぶことも多いでしょうが、基礎的なことを事前に学んでおくことは、意味不明と思える相手の行動を正確に解釈できるようになり、離婚確率を大きく下げることに繋がるでしょう。

それに二人の間にトラブルが起きてからその都度対処するよりも、それを防ぐべく日頃から行動する方が疲れませんから。

以上、3回ということで長い書評となりましたが、正直かなり有益な本だと思います。

結婚を考えている、もしくは結婚したばかりの友人がいれば、プレゼントとしても悪くないかも!?と思わされる一冊でした。