婚活関係で多くの本が、毎月出版されています。
その中でも、「お見合い」ということに関して言えば、この本が一番分かりやすく伝えてくれていると思います。
それもそのはず、著者が産経新聞の記者であり、ご自身のお見合い体験記として書かれているからなんですね。
また、タイトルこそ「1勝99敗」となっていますが、実際には150回以上お見合いをされているようで、十数年にわたっての記録であり、婚活に掛けた金額はゆうに新車が買える程度にはなっているようです(笑)
記者という職業病なのか、かなり凝り性なんですね。
複数の結婚相談所を掛け持ちしたり、お見合いの為にかなりの遠方まで出かけて行ったりと、普通の婚活では体験しないようなことまでも書かれており、特に結婚相談所での活動を検討している人にとって、かなり参考になると思います。
そして、数多くの婚活サービスを体験していく中で、著者が出した答えは、「お見合いというシステムは、素晴らしい!」ということでした。
まあ、著者が大手新聞社に勤めているといった高スペックで、結婚相談所での婚活が向いているということも多分にあると思います。
それでは、内容について、もっと詳しくご紹介したいと思います。
第一章の題が、「お見合いを始める心構え」となっています。
いきなり精神論か?と思えば、そうではなく、彼の類まれなる戦歴!?から出てきた答えなんですね。
それは、「相手を選ぶ時には、何よりも相性を重視せよ」ということ。
もっと突っ込んだ表現で言えば、
『もし相手が同性だったら、大親友になっていますか? 大親友になっていると自信を持って言えるなら大丈夫。自信が持てないなら考え直した方がいい』と。
自分と相手が相性いい!とすぐに分かるものではありませんが、少なくとも1、2回食事をすれば、確かに「相性が悪いかどうか」というのは判断が付きますよね。
著者流に言えば、「良い」と思えない場合には辞めた方が良いということのようです。
そこまで「相性」にこだわる根拠としては、
「相性の良し悪しは先天的なものか、後天的であってもすでに成人した後は変更がきかないものだ。
相性が良くて自然に愛情がわいてくるから付き合ったり結婚するのであって、付き合っている相手だから配偶者だから愛そうと思っても長続きしない。」
と考え、感じているからだそうです。
当然、この考え方には、反論が出るだろうことは、著者も予想しています。
特に、女性からの反論が実際に多かったようです。
「結婚はいくらきれいごとを言っても、しょせんは打算。年収や学歴のいい人を選ばないとダメ!」という女性も少なくなく、そんな意見を言われたこともあるそうです。
著者のその意見に対する反論は、
「結婚は打算、つまり自分にとってどれだけプラスになるか?ということで言えば、なおさら相性の重要さを自分は説きたい。なぜなら、相手にどれほどの収入があっても、自分を愛してくれない相手、あるいは自分が愛せない相手と結婚して、さむざむとした家庭で一生を送るのでは全く割に合わないでしょう。」
うん、確かに。。
今より毎日を楽しくしたいから結婚するのに、一人でいる時が一番落ち着くというのでは、本末転倒ですよね。
続いて、本書の中盤には、「お見合いの場について、どう振る舞うべきか」ということのアドバイスが述べられています。
「事前に相手の名前を覚えておくべき」とか、「議論をしてはいけない」とか、「相手の好みに関心を示せ」といった 、一見当たり前のことから、「距離の遠さで諦めるな」というような、経験からの教えが書かれています。
また、「デートの作法」から「相手の見極め方」についてなど、主に男性向けのアドバイスが 多々載せられていますので、「自分は女性を見る目に自信が無い」と自覚する男性は、是非一読されることをお勧めてしておきます。
それにしても、この本を面白くしているのは、正直、著者の新聞記者としての技量よりも、キャラクターであるように思います。
ご本人が認めるように、イケメンではなく、いつも大事なところで抜けているような、そそっかしい性格で、様々なトラブル!?を引き起こしています。
デートで調子に乗りお酒を飲み過ぎて、近くの駅まで一緒にタクシーに乗ったまではいいが、いびきをかくほど熟睡してしまったり、ズボンのジッパーを開けっ放しでお見合いに臨んでしまったり・・・と(苦笑)
その分、普通の人よりも反省することが多かったり、変わった人との出会いも多く、話に彩りを添えています。
ただ、さすが新聞記者!と思えるような洞察力も所々に見え、お見合いからデートにおける「相手の見極め方」についてのアドバイスなどは、多くの人にとって有益なものとなるでしょう。
普通の恋愛なら時間を掛けて相手が見えるものですが、お見合い結婚となると、どうしても時間や回数が限られてしまいます。
その中で、後から後悔しないためにも、「相手のどういったところを見るべきなのか?」、「どういったデートはダメなのか」ということは、知識として知っておきたいですよね。
最後に、個人的に一番印象的だった部分をご紹介したいと思います。
一般に「相性とは、価値観や感覚が一致している」ことが前提であると思われます。
しかし、世の中には、考え方が全く違う夫婦で、「お互い上手くやっている」と感じている人達がいます。
それは何故か?
著者の考えでは、
「感覚のレベルでは、お互いに開きを感じ、実際に同じものを見ている時でも、違う視点から見ている。むしろそこに、自分には無いものを相手にみつけて、魅力的であるとすら思ったりもする。そういった意味では、一見、価値観や感覚に相違があると言えるのかもしれない。
しかし、本当に大事にしたい価値観の共有は、なされていると思う。
例えば自分のケースを言えば、自分には大事な友人や親族がいて、配偶者にも同じように大事に思って貰いたいし、自分も相手の大事な人を同じように大切にしたい! というようなことをお互いに理解できている。もし、この部分が感覚的に理解&共有できていないと、自分は配偶者に大きな違和感を持っていただろう。」
確かに頷けるところが多いですね!
善悪の価値観なんかもそうでしょう。
結婚相談所でも、成婚料を払いたくないがために、「一旦、退会しよう!それでこっそり結婚すれば、二人分の成婚料が浮くでしょ!経済的じゃない!?」と提案する人が、稀にいるそうです。
常識的な人であれば、「ドン引き!そんなことを思いついて、相手に提案するような人って、どうなの!?仮に結婚したとすると、自分に対しても万事同じような不誠実なことをしそう。」と百年の恋も一瞬にして冷めるでしょう。
しかし、逆に「それって、いい考え!その成婚料分で豪華なハネムーンにしよう!」と賛同する人達は、それはそれで相性が良いと言えるのかもしれません。(苦笑)
まあ、「心落ち着いた幸せな結婚生活」とは、程遠いものになるのは目に見えていると思いますが。。