婚活ストーリー

「待たなくていい」と別れを告げられてから2年後

2016.02.04

別れを告げられて
Narita International Airport Terminal 1 North Wing (NRT/RJAA)

これは夫の職場の先輩にあたる人の話です。

夫と彼は非常に仲が良いため、二人で遊びに行くことも多く、プライベートな話も良くしていました。

そこで彼の奥さんになった人の話を聞いたんです。

 

夫と彼の職業は理学療法士。

同じ病院で働いていたことから知り合いました。

何年も交流を続けていたのですが、彼が急にネパールへ行くんだと話始めたんです。

その理由が青年海外協力隊として派遣されるからということでした。

実は彼はずっと海外でそうやって働くことを夢見て、理学療法士を目指していたそうです。

青年海外協力隊として派遣されるためにはいくつかの試験がありますが、それらもすべてクリアしてあとは訓練を受けた後に現地へ行くだけだという状態だと聞かされました。

 

そこで気になったのが、彼がお付き合いしている彼女のこと。

確か高校生の頃からの付き合いで、結婚も意識しているはずではなかったのかと不思議に思いました。

それについて夫に聞いてもらうと、彼女は最初から彼が海外へ行くことを知っていて付き合ったのだと言うんです。

派遣期間は2年間ですが、今の職を辞めていくため、そのあとの保障はなにもありません。彼は「待っていなくて良い」と伝えたそうです。

私だったら嫌だなというのが本音でした。

高校生の頃からきっと色々な出来事があったのでしょう。

お互いが就職するまでにも紆余曲折はあったはずですし、それを支えたのも彼女だったのではないでしょうか。

二人の歴史はそれなりの年月になっているはずで、それを全部捨てて行くというのでしょうか。

せめて何か約束をしていかないのかと尋ねてみましたが、彼女を縛ることはしたくないこと、生きて帰れない可能性がないわけではないから、何もあげられるものはない、ということでした。

それが彼なりのけじめの付け方だったのでしょう。他人が口出しできることではないとは思いましたが、夫を通じて彼女との仲の良さを聞いていた私としては、彼女の気持ちが気になって仕方がありませんでした。

 

そして彼が青年海外協力隊としてネパールへ旅立ち、そこから2年間は何の連絡もありませんでした。

元気かなあと時折夫と話すこともありましたが、他人の私たちには確かめる手段もありません。

 

そして2年後経ったのが去年のことでした。

「そろそろ帰ってきているはずだよね」、と話題には出るものの、旅立つ前に携帯電話も解約している彼に連絡をつける方法はなく、夫はFacebookなどで情報を探すこともあったようです。

でも直接の連絡は何もなかったんですよね。だから本当に驚いたんです、彼から結婚式の招待状が来た時は。

久しぶりの挨拶も何もなく、一般的な普通の招待状のセットが入った封筒の裏書きには、彼の名前と別れたはずの彼女の名前。

もうにやけてしまいました。私も招待してもらえたので、二人で喜び勇んで結婚式に出席してきました。

待たなくていいと言った彼でしたが、彼女の携帯電話の番号だけはずっと捨てずに持っていて、帰国してすぐに公衆電話から電話をかけたこと、彼女もそれに迷いもなく出て、彼だと当てたこと。他人が心配する必要なんて微塵も存在しなかったようです。

「私は別に待ってなかったですよ。待つなとは言われたけど、他に男を作るなとは言われてなかったから、帰ってきてその許可をもらってから男を探そうかなって思って」

そんなことを言って笑う彼女の笑顔がとても素敵でした。

そのとき彼と彼女は30歳。同じ年頃の私としては、そこまで迷いなく彼を待っていられたことが切なくもあり羨ましくもあり、ただひたすらに幸せになって欲しいなと願ってしまう結婚式でした。

ちなみにですが、結婚式はすべて彼女のリクエスト通り行われたそうです。

2年分のさみしさとか文句とか(笑)気持ちのこもった結婚式だったんだろうと思います。

彼はそのときまだ次の仕事が決まっていなかったので、とりあえず就職してから、と提案したそうなのですが、「そんなの関係ない!」と言い放った彼女の気持ちが分かりすぎるほどにわかってしまいました。