今月の書評(婚活編)

picこの人と結婚

「この人と結婚していいの?」の書評(その1)


この本を見つけたのは、Amazonのサイトからです。

婚活関係の本で、何か面白そうなものはないかと見ていた時、レビューが高評価なので目に留まったのです。

ただ、表紙にパンチが無いというか、あまり特徴的では無いので、どうしようか迷ったものの、最終的には購入しました。

全体的な感想から言えば、「当たり」でした(笑)

今まで読んできた多くの本は、著者が現役の仲人さんであったり、心理学者であったり、はたまた社会学者というケースがほとんどでした。

そういった意味では、今回の著者は毛色が違います。

この著者の職業はというと・・・

「牧師」さんです!

牧師さんの仕事がメインだと思われますが、それと並行してなのか、仕事の一環なのか、『プリマリタル・カウンセリング』を行っているのです。

この『プリマリタル・カウンセリング』という言葉、聞いたことが無い人がほとんどだと思います。

何かというと、直訳で「結婚前のカウンセリング」のことで、結婚についての概念や、男と女の違い、愛について、またお互いの常識の食い違い、経済観念や性意識の違いなどを総括的に学ぶことにより、結婚生活への準備をすることを目的に行われるものなのです。

日本では聞き慣れない結婚前のカウンセリングですが、カリフォルニア州フレズノ市では、教会が主催しているこのカウンセリングを修了していないカップルの結婚届を受理しないという条例があるほどだとか。

この本は、そういった現場の驚くべき実例はもちろん、著者自身の結婚生活における失敗も含めて、示唆に富んだ内容となっており、多くの男女にとって大変参考になるものとなっています。

 

それでは、早速本の中身に。

今ではこうして結婚について力説している著者ですが、元々は「結婚願望ゼロ」だったのです。

「結婚は人生の墓場」だと完全にそう信じていたし、両親も離婚を経験しており、彼の周りの既婚者も幸せな結婚生活ではなさそうで、一層負の経験が彼を結婚から遠ざけていたのです。

そんな彼の転機は、アメリカで名の知れた牧師夫婦の来日記念講演を一緒にしたときなのです。

彼が今まで会ったことの無いほど仲の良い夫婦で、側からみている自分と同い年の娘にその真実を聞いた時、「自分もこういう結婚をしよう」と心に決めたそうです。

そこでその神父夫妻の中に「結婚生活のモデル」を見つけた著者は、その秘訣を追求していくことになります。

 

「男性と女性とは、造りが違う」ということを知らない人はいません。

一般的なことを言えば、「女性の方がよく喋る」とか、「女性の方が感情的」であるというのは周知の通りです。

しかし、そんなことよりももっと知っておくべきことがあると言います。

それをまとめたのが、次の6つです。

1.男は「裁判官」、女は「体温計」

2.男は「目標達成思考」、女は「同情と感情を共有したい」

3.男は「客観的」、女は「パーソナル」

4.男の頭は「コンパートメント」、女にとっては「すべてが流れる川のごとく」

5.男は環境と自分を区別する、女は環境が自分の一部になる

6.男は一般化したがり、女は詳細を知りたがる

内容としては、かなりかぶっていると思われるところがありますが、簡単な説明を。

 

まず、男性はいかなる時も事実を正しく判断し、それを表明していく傾向があるそうです。

その事実把握において、些末なことと判断されたものに関しては、バンバン切り捨てていくのです。

男性にとっては会話一つをとってみても、明確な目標が設定されており、なんの価値も無いと思われるものを話題として取り上げようとは思わないのですね。

そのため、特に重要ではないと判断した話題について女性から質問された場合、「いや、別に(話すほどのことは無いよ)」といった答えをしてしまい、女性の反感を買うのだそうです。(苦笑)

 

一方、女性はその場その場の感情を共有することを第一とする傾向があるため、目的思考の強い男性の話に比べて脈絡のない流れとなるのです。

そして、同じ事実でも男性とは異なった部分に興味を抱いたり、詳細を知りたがったりするのですね。

そこには他人の話であっても、あたかも自分にも関係が無いとは思えないというほどの感情移入、想像力があり、男性が驚くほどそういったものを純粋に楽しめるのです。

この下地の違いがあり、

・「買いたい物を買ったらすぐ帰る男性」 と 「長時間のショッピングを楽しめる女性」

・「説明は短いほど良いと思う男性」 と 「なるべく詳細な情報を話したいと思う女性」

・「人生相談番組をヒトゴトとして淡々と見る男性」 と 「他人の経験を自分の経験と結びつけて共感する女性」

・「仕事をしながら妻のことを考えられない男性」 と 「家事をしながらでも夫のことを考えられる女性」

といった行動になって表れるのですね。

ただ、著者も言っているように、これは「傾向」であって絶対ではありません。

また、違うということは悪いことではなく、違うということが結婚生活における刺激や発展となり、尊敬につながるべきだと主張しています。

 

続いて、女性が絶対知っておくべき! もっと男性を男性たらしめる特徴が出てきます。

それが、『ウルトラマン思考』と著者が呼ぶものです。

そう!みんなが知っているあのウルトラマンです。

ウルトラマンは、「自分は正義の味方でなくてはいけない」というのが基本姿勢なのですが、裏返せば、どんな時も自己正当化を無意識にしてしまう生き物なのだそうです。

そのため、女性からの何気ない発言をよく「責められている」ように感じてしまうことがあると言います。

例えば、頼まれごとを忘れていたことを指摘されれば、とっさに仕事の忙しさを延々と語り始め、奥さんから友達が海外旅行してきたという話を聞かされれば、すぐに「俺だってしっかり家族サービスしているだろ!」と早合点するのです。

ただ、この「ウルトラマン思考」というのは、悪い面ばかりではなく、この思考があるからこそ、男性は労働により家庭を治め、社会的な責任を果たすという概念が出てくるのだと言います。

そして、その裏には、常に相手からの「賞賛」を求めることにも繋がってきます。

自分が正義であり、賞賛して貰えることがエネルギー源であり、それを無くては自分に対して存在価値を感じなくなり、この地球上(家庭)で生きていけないのです。

男性が「ウルトラマン」であるためには、妻にとって誰よりも自分が強くて、頼りがいのある存在でなくてはならないと感じており、ヒーローを演じる必要があるのです。

一般的に「男性はプライドの生き物」と言われるのは、こういった思考があるからだ!ということを女性が理解することで、しなくても良い争いを避けることが出来、その「賞賛」を適宜与えることで、より一層家族のために男性は頑張れるのですね。

それに対して女性はというと、『シンデレラシンドローム』と言われる思考があるのです。

長くなってきたので、続きは次回(その2)に。